オリジナルのイラストを紹介



【第8回】2016年6月4日  「透視図SPプレアデス」
今回はスペースプレーン「プレアデス」を紹介する。(2006年6月)
丁度10年前の作品だ。
透視図は好きで色々な物を描いているがこのスペースプレーンは
中でも好きな題材で今迄6機程度描いている。
スペースプレーンは外形がシンプルで描き易いという事もある。
私がパソコンを導入して描きたかった物の一つがこの透視図であった。
これを絵の具で描くのは大変であるがパソコンならば苦も無くできる。
だが見せ方は中々難しい。全部見せてしまえば構造図である。
内部を見せつつ外皮の具合もわかる様にせねばならない。
この透視のさせ具合が透視図たる由縁であろう。

内部構造を描く。基本的なレイアウトはNASA、JAXA
などで公開されている予想図を参考にした。
つまりコクピット、客席、燃料タンク、エンジンなどの
位置である。その他は私のイメージで自由に描いている。
これを理屈とか、いわゆる常識に縛られて描いたら
これほどつまらん物は無いであろう。
自分の夢(イメージ)を描かないでどうするという
スタンスである。夢を馬鹿にしてはいけない。
夢は何時か必ず実現する時がやって来る。
本格的な構造は実物を作る方にお任せすれば良い。
さて、絵は外皮の輪郭線としっかり合わせて描く
必要がある。外側に構造物がはみ出していたら
興醒めである。


 絵が大きいので例によって分割して着色する。
 まずは基準にする色を決める。この場合は骨組みの色だ。
 内部構造物はこの色と比べて引き立つ色を選んで使っている。
 色が散漫にならない様バランス良く配置する。
 実物の色は意外に素っ気無い物であるがそれに捕われる必要は無い。
 オレンジの座席はファーストクラス、白い座席はエコノミーである。(笑)


 骨組みに色を入れると全体の形が浮き上がって来る。
 構造物も立体的に見える様、色を入れて行く。私の場合大抵は
 光源が左上に有ると考えて影を入れている。
 ベタ(真っ黒では無い)も効果的に使うとそれぞれの部品が
 浮き上がって見える。これは透視した時も内部を引き立たせてくれる。
 色もイメージの大事な役割を持っている。夢を塗れば良い。


これは製作過程の絵であるが色と線画両方が
わかるのでこの様な絵も有りであろう。
この絵では好きなエンジン部分が描け無かった。
機体の下に抱え込む形になっているのである。
さて、透視図であるが完成した構造図の上に下の
外皮を重ねる。そのまま外皮の透明度を変化させれば
透視図になるのであるがそれでは面白く無い。
外皮の周囲を選択範囲で取って反転、本体を
(マスク、チャンネル化)する。
それをブラシで加工する。グラデーションをかければ
それが外皮の透け具合に反映される。
折角描いた物だからと広い部分を見せたくなるが
見えない部分が有る方が効果的である。
もうちょっと見たいと言う寸前で止めるのである。(笑)
外皮はあまり凝って描いてしまうと透視した時
内部構造の見え方の邪魔になる。なので極力シンプルに
している。構造線などは骨組みと一致するので
見え方の邪魔にはならない。
レタリングなどは枠線が無いので差程邪魔にならず
透視した時、場所によるがその度合いが強調されるので
効果的になる。
この様な訳で外皮は簡単に描いているが普通に描いて
カットモデル風にする手も有る。
これは次ぎのスペースプレーンでやってみたいと思う。




【第7回】2016年5月21日  「一つのメカができるまで」
これは2010年頃の映像である。
プロ中のプロの方に撮って頂いた。
イラストは既に完成していたので【第6回】
改めてラフから完成までプロセスを再現して
映像を撮ったのである。
映像は私の個展などで何度か公開しているので
見た方もおられるであろう。
新たな解説で紹介してみよう。

 まずはラフである。紙はコピー用紙。
 頭の中のデザインを紙に落として行く作業だ。
 思い付くまま自由に描く、制限をかけない事が大事だ。
 紙の上にデザインが具現化してくると紙が足りないと言う事も
 良く起こる。(笑)この段階では紙にイメージを出し切る事が
 大事だ。紙が足りなければ足せば良い。


ラフで考える事は第一に全体の形。次ぎに各部分の組み合わせ。
全体の形は頭の中で前、後ろ、上からなどイメージしてみる。
これができる時はデザインが頭の中ででき上がっている印だ。
各部分は破綻無く組み合わさってなければならない。これは2Dでは
破綻があっても描けてしまうので注意が必要だ。
これがあると私の場合は模型化する事もあるので立体にできないという
問題が生じてくる。なのでラフでは常に立体を意識して描く。
各部分の断面を考えながら描くと良いと思う。
ラフでは細部は描き込まない。細部は下描きの段階で行う。
ラフができたら大きさを決める。
この場合は気に入ったデザインだったので大きく描きたかった。
コピーで拡大して大きさを決める。


下描きである。ラフの上に新しい紙を載せ
描いて行く。この時コピー用紙は最適だ。
トレぺの様に下が見え過ぎず下描きの邪魔を
しない。ラフで外形は決っているので
下描きで外形に内包された部分のデザインを
決めて行く。鉛筆はHB、軽く描くので一本が
かなり長もちする。(笑)




ペン入れである。ペン先はGペンを使っている。
慣れるとこれ程使い易い道具は無い。太い線も細い線も自由に引ける。
インクは墨汁で有る。インクよりも乾きは遅いのだが線はシャープだ。
ペン入れで最終的に線を決める。
下描きの線を恐る恐るなぞってはいけない。それでは線が死んでしまう。
下描きはペン入れのガイドに過ぎない。
下描き以上の線をペンで入れると言う気持ちで描く。
手前は強く、奥は弱く一気に引く。一気に引くので直線もそれ程曲がらない。
定規もここではキッチリしたい線が欲しい所のみに使っている。
定規を使うと描くスピードが遅くなるので私は好きでは無い。
なので最近では全く使っていない。全部フリーハンドで描いている。
お気付きだろうか?どのキャプチャー画像でも画像が全くブレていない。
重いカメラを担いで接写の撮影であったのに、撮影者の凄腕がわかる。

線画の完成である。
最近は皆、この様な描き方だ。スキャナーで取り込むのにも都合が良い。
又、大きな絵でも保存に折り目が付かない。(笑)
この撮影は「北とぴあ」の会議室で行った。製図板と道具は家から持参した。
当初この撮影にはかなり気が引けた。私の真横(肩のあたり)でカメラが
回るのである。緊張してまともに描けるか?と思った。
しかしあの時、撮影して本当に良かったと思う。
映像には音声も入っている。(音響の方もこの撮影に来て頂いた)
機会が有れば是非見て頂きたいと思う。



【第6回】2016年5月15日  今回は「宇宙船アイアース(AIAS)」(2009年)を紹介する。

 ラフ段階の物から紹介できると良いのだが私の場合あまりラフが
 残らない。ラフはサッとしか描かないのでそのまま下描きを入れる。
 ペン入れをして下描きを消して線画のできあがりである。
 なのでラフまで残っている物は本当に数が少ない。
 今回も着色の段階を紹介するが後述の理由により、あまり参考には
 ならないかも知れない。(この絵もB1サイズと大きい)


 例により分割方式で塗って行く  何処から塗っても良いのだが左側から  これは原稿を描く時と同じだ
背景が宇宙なので明るい単色で塗る事が多い  オモチャっぽくなるので塗り分けはあまりしない  意識的にわずかにトーンを押さえて塗る

着色は特にリアルさを目指している訳では無い。
着色はハッキリ線画がわかって色もわかる。
そんな塗方が理想だ。
リアル方向を追求して行くと線画を捨てねば
ならぬ。それは避けたい。

 着色は自己流である。誰に教わった訳でも無い。
 今は無意識に使っている選択ツールも最初は使い方がわからなかった。
 チャンネル(マスク)もその機能を知り使える様になるまで半年位
 かかっている。(笑)ソフトはぺインターとフォトショップだ。
 着色に使うツールはスプレー、バケツ、ライン、消しゴム
 それと鉛筆のみだ。恐らくソフトの機能の数%しか使って無いで
 あろう。縦横無尽にソフトを駆使して描いている人から見れば
 私の着色は小学生レベルかも知れぬ簡単なものだ。



 なので着色については、これらの画像を見て頂ければおおよその事は  着色で困るのはどうしても自分の好みの色を使ってしまう事。
 理解して頂けると思う。  これは何とかしたい所だ。

メカを描く時。
カッコ良く描くと言うのが常に頭にある。
メカはカッコ良くなくてはならない。(笑)
この事が絵を描く時カッコ良く描く為に実際には
成り得ない線を描いている時がある。
これは2Dであるから描けてしまうので
3Dにしてみると形にならない事が多い。
形になったとしても2Dの絵とはかなり違う
イメージの物になる筈だ。
想像で描くものだから仕方が無いと言われれば
それまでだが、これからは元絵と立体化した時の
差を小さくした物が求められると思う。
私がオリジナルの模型を作る理由の一つでもある。



【第5回】2016年5月5日  今回は「宇宙船アース」(2009年)を紹介する。

 デザインの悪あがきがわかって面白いと思うのでこれを取り上げた。
 上の完成画像と見比べながら見て貰うと良くわかると思う。
 この画像は2010年「恒河沙IN王子」のポスターで使っている。
 上はラフである。普通はこんなに丁寧には描かない。
 この時は模型化を考えていたので丁寧に描いていたのだと思う。
 此処からは感覚である。描き上げ見直してバランスが悪いと感じた。



 そこで後ろを伸ばした。少しバランスが良くなった。
 しかし、前後の安定がイマイチ。パソコンに取り込み修正を加える。
 前部分の長さが足りないと感じる。少し伸してみた。
 更に前を伸ばす。前が重く感じたので細く軽くする。だいぶ良くなった。
 しかし何か物足りない。特に下側、何か欲しい。リングを付けてみたり
 下側に円盤状の物を付けたりしてみる。一応、これで行ってみる。



 画像のサイズが大きいのでこの様に分解して着色する。
 非力なパソコン故、苦肉の策でもあるのだが拡大、スクロールなどの
 操作は元絵のままでやるよりも格段に楽である。
 ひと昔前はA3サイズが限界だったけれども、この方法を使いだしてから
 かなり大きなサイズも描ける様になった。作業中、万一フリーズしても
 分割しているのでその部分を失うだけで済むと言う利点もある。(笑)


 できあがった中央部と後部を組み合わせてみる。
 どうもやり過ぎである。余計な物をつけ過ぎた。
 着色すると線画よりも、よりイメージがハッキリするのだ。
 私の場合、バランスとは重心点を探っている様な気がする。
 下側にある物を取り払って上の三つを組み合わせた。
 これで良し。と思ったが下側が少し寂しい。やはり何か付けたい。
 と、言う事でトップの完成画像の様になった次第。



【第4回】2016年5月3日  今回は「メカニカルワールド」(1981年)を紹介する。

 1980年代、雑誌「リュウ」(徳間書店)に連載したメカニカルワールド。
 モノクロ原稿だ。 当時からやってみたい事が有った。
 それはこの原稿をカラー化する事。
 最近、仕事の合間を見て少しづつカラー化している。
 しかし線画の状態に戻すのは大変だ。中央の絵など最悪である。
 フォトショップのペンツールで切り抜き作業を行った。


 35年が経過している絵だけれどもカラー化する事によってそれぞれの
 メカが生き返って来る。パソコン無しではこの作業はできない。
 線画を画用紙にコピーして水彩着色と言う手もあるのだが
 絵の具の後片付けなどを考えると二の足を踏む。
 パソコンは作業の利便性、絵の保存を考え使っている。
 でも私の絵ではパソコンは補佐でメインになる事は無い。
 左から「宇宙戦闘機」「イオンドライブエンジン試験機」「宇宙空母」



【第3回】2016年5月1日  今回は「宙の大宇宙船造船所」(2014年2月)を紹介する。

 2012年の9月、初めて呉に行った。
 港を眺めているうちに此処が宇宙港だったら
 と、考え始めた。「船は呉から宇宙へ」だ。
 そのイメージを元に2013年暮れから絵を
 描き始めた。 
 サイズはB1(728x1030)
 大きいので描くにはそれなりの工夫が要る。
 展示会などで絵はどの様に描いているのかと
 良く聞かれるので私なりの手順を紹介する。
 特別な事は何もしていない。
 とにかく手で描くのが基本なのだ。
 呉の「市民ギャラリー」に展示されている  呉港 「大和」が造られた港だ

 まずはA3程度の紙(コピー用紙)にラフで全体図を描く。
 それをスキャナーで取り込みパソコン内でB1サイズに拡大する。
 それをA3サイズに分割してプリント。
 その上に新しい紙を載せ下のラフ線を目印に下書きを入れて行く。
 上の絵は下書きを入れている段階。細部は直接ペンで入れる。
 ペン入れで線を決めるので下書きはそのガイドになれば良い。

 それぞれをペン入れして行く。私はGペンを使っている。
 線の強弱を付け極力フリーハンドで描く。その方が絵が生きてくる。
 定規などの道具に頼らない。手で描くのが基本。
 製図をやっている訳では無いので線が多少歪もうが気にする事は無い。
 最近は証券インク(耐水)を使っているが水彩着色する訳では無いので
 墨汁をお勧めする。インクよりも遥かに線がシャープになる。


 ペン入れした各絵をそれぞれスキャナーで取り込む。
 パソコン上で繋ぎ合わせて一枚の線画として完成させる。
 左の絵はこの状態のもの
 私はこの線画が好きだ。なので線は大事にしたい。
 最近のイラストは線を残さずリアルに描く物が多いので
 その方向も考えた事はあった。しかし
 色々やってもみたが私には合わない。
 今はこの描き方が私のカラーだと思っている。
 さて、これを着色していく。これも特別なテクニックは
 要しない。
 着色は線画の凹凸を際立たせる為のものと思って貰って
 良いと思う。
 2Dから3Dへと疑似立体化でもある。
 又、この事で線画の矛盾点なども見い出せたりもする。


 完成した線画から適当に切り出して着色していく。
 輪郭線、構造線を色の境界線にすると良い。(繋ぎが楽)
 A3程度のサイズにすれば処理速度もストレス無く進められる。
 しかし、この方法では全体の様子を見ながらの着色はできない。
 全体の色の強弱を付け難くなるのが難点だ。
 全体を見ながらの着色が一番良いのだが非力なパソコンでは難しい。
 部分で着色した物を別にコピーした線画全体図に貼付けて行く。
 ドット単位で合わせるので全くずれる事は無い。


 この様にして完成したのが左のイラストだ。
 背景は呉に行った時に撮った写真を使った。最初、巨大な
 ドームは無かったのだが精密な宇宙船を雨ざらしで造る訳にも
 いかないだろうと後から付けたものだ。
 もう一つ、この絵には背景を月面上に変えた物もある。
 それは2014年、大阪府の「ビッグバン」で展示した。
 まあ、その事も考えてのドームだった訳でもある。
  月面大宇宙船造船所


【第2回】2016年4月29日  今回は前回に続きCOSMSのトップ画像を紹介する。(いずれも2000年〜2004年頃までのもの)
 私としては珍しいゴテゴテした宇宙船。  子供の頃夢みた光子宇宙船  ふなっしーみたいな車だ。(笑)
 構造図は昔から好きで描いている。 蒸気機関車は子供の頃から好きだ。 消失したファイルがHP内に残っていたりする。


【第1回】2016年4月28日  今回はHPのリニューアルと言う事で過去のCOSMSを紹介する。
1999年3月頃のCOSMOS 2000年9月頃のCOSMOS 同じく2000年
2001年12月頃のCOSMOS 2002年6月頃のCOSMOS

2004年11月頃、手抜きだなー(笑)
 HPもこうして見ると昔の方が丁寧に
 作っていた気がする。(手間をかけてた)
 長く続けているとどうしても惰性化して
 しまう。ここでもう一度初心に戻って
 みようと言う事だ。
 パソコン導入の目的の一つはこのHPを
 作ってみたいと言う事だったのだから。
 更新が義務に感じられたら続かない。
 好きな様に思いつくままやってみたい。

2010年頃のCOSMOS

2枚の画像で作ったGifアニメ(2000年頃)